名護市の渡具知市長、辺野古移設「推移を見守る」 ヘリパッド撤去は高専付近を優先<名護市長・市議アンケート>


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渡具知武豊市長

 【名護】米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間飛行場への配備から、10月1日で10年を迎えた。名護市辺野古では普天間飛行場移設に伴う代替基地が建設中で、完成後はオスプレイが配備される見通しだ。米軍キャンプ・シュワブには周辺集落を取り巻くようにヘリパッドが点在し、集落の上空にはオスプレイが飛来する。琉球新報は26日までに、名護市の渡具知武豊市長や市議会議員26人にアンケートを実施し、辺野古移設問題やオスプレイ配備に関する見解などを聞いた。(長嶺晃太朗、松堂秀樹、岩切美穂、増田健太)

 渡具知武豊市長は書面で以下のように回答した(要旨)。

 ―普天間飛行場の辺野古移設への賛否は。

 「現在も国と県による係争が続いていることから、推移を見守るよりほかないとの立場に変わりはない」

 ―オスプレイが代替施設に移転することへの賛否は。

 「その推移を見守るよりほかないとの立場から、代替施設ができる前提の質問に回答する立場にないが、米軍機の配備や運用等については日米両政府によって適切に対応がなされると理解している」

 ―防音工事が必要ないとの政府見解に賛同できるか。

 (※前問と同回答)

 ―オスプレイの離着陸が繰り返されている辺野古周辺のヘリパッドについて。

 「キャンプ・シュワブ内の離着陸帯の撤去を政府に要請しており、特に国立沖縄工業高専に近いフェニックスについては、優先的に撤去するよう求めている。引き続き、機会あるごとに、政府に対して求めていく」

 ―代替施設周辺で万が一、米軍機の事故が発生した場合、地元首長として何を求めるか。

 「回答する立場にないが、これまでも再発防止や原因究明等を求めている。米軍基地に由来する事件・事故は絶対にあってはならず、これからも引き続き日米両政府に米軍基地の段階的な整理縮小、日米地位協定上の課題の改定や改善など基地負担軽減について求めてまいりたい」

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市内6カ所配置

 面積の約10%を米軍基地が占める名護市。久辺3区は米軍キャンプ・シュワブに隣接し、米軍機や射撃訓練などによる騒音の被害を受けている。
 市によると、シュワブ内にはフェニックス、レイル、カーディナル、レア、グース、ガンダーの計6カ所のヘリパッドがあり、オスプレイが利用することもある。特にフェニックスは沖縄高専から300メートルほどしか離れていないため、市が撤去を求めている。地元住民からは、代替施設建設後にヘリパッドが撤去されるのか不安視する声も上がっている。