与那国島で陸自の戦闘車、公道での訓練を計画  11月の日米演習


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与那国町の公道を走行する計画がある16式機動戦闘車(MCV)=10月、陸上自衛隊東富士演習場

 11月中旬に自衛隊と米軍が実施する日米共同統合演習「キーン・ソード23」の一環で、陸上自衛隊の「16式機動戦闘車(MCV)」を沖縄県の与那国町に空輸し、与那国空港から陸自与那国駐屯地までの公道を自走させる訓練を計画していることが28日、明らかとなった。実施されれば、県内の公道でMCVを使用するのは初めてとなる。一方、防衛省から計画概要の報告を受けた県は「住民に不安を与える可能性がある」として、政府に懸念を申し入れる方向で検討している。 

 キーン・ソードでは米軍も与那国駐屯地を利用し、日米共同調整所を設置することも発表されている。台湾有事を想定した日米共同の対処や国民保護の運用を確認する狙いがあるとみられる。

 沖縄防衛局によると、陸自西部方面隊のMCVを築城基地(福岡県)から与那国空港にC2輸送機で運び、駐屯地までの公道で走行させることを検討している。同局は県に対し「訓練の中身については、全体として変更もあり得る」などと説明している。

 玉城デニー知事は琉球新報の取材に「住民の方々が不安になることがないよう、調整はしっかりとやってほしい」と述べた。

 MCVは105ミリ砲を登載し、高い走行性を持つ陸自最新鋭の装輪装甲車。火力と機動力を兼ね備え、輸送機での空輸も可能で、防衛省は「さまざまな事態へ迅速に対応する」と強調している。

 キーン・ソードを巡って、県の照会に対する沖縄防衛局の回答によると、県内に運び込むのは車両73台と人員191人、県外へ運び出すのは車両49台と人員136人としている。県内での上陸訓練は「実施しない」などと回答した。 (池田哲平)