「よみがえった姿を見たい」首里城再建への希望を託し 御材木パレード、国頭から首里へ


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海沿いの道を走り、那覇に向かう御材木を載せた車両=29日午後0時49分、名護市許田(小川昌宏撮影)

 ウチナーンチュの心のよりどころの一つだった首里城の焼失から3年。11月3日に行われる正殿の起工式を前に、沖縄県産材の巨木が29日、国頭から首里へ向かった。木遣(きや)り歌「国頭(くんじゃん)サバクイ」に送り出された「御材木(おざいもく)」は読谷、北中城、浦添と南下。各地で出迎えた人々は往事の首里城に思いをはせ、復興への思いを強くした。

 国頭村森林公園で行われた「国頭フェスティバル」。国頭サバクイが始まると、会場の中心に据えられた巨木の模型を保存会の男衆12人、女衆35人が囲み、時に厳かに、時に軽やかに歌い踊って、切り出しから運び出しまでを再現した。琉球王国時代の役人「サバクイ」役を務めた大田孝佳さん(59)は「住民が一つになって守り育て、切り出し、運び出した巨木に託した思いは今も昔も変わらない。地元の誇りだ」と力を込めた。

 御材木を一目見ようと駆け付けた人も。読谷村の沖縄ハム総合食品を訪れた童夢児童クラブの子どもたち30人は「大きい! 太い!」と歓声を上げた。新地澪華(みおか)さん(11)は「完成したら、みんなで行きたい」と目を輝かせた。

 北中城村のイオンモール沖縄ライカムには、佐々木良允さん(42)・芙由子さん(37)夫妻が綾花さん(9)、紬葵(ゆき)さん(6)、9月に生まれた陽大(ようた)ちゃんと八重瀬町から駆け付けた。「復興の歩みとともに大きく健やかに育ってほしい」と願った。

 往事の首里城を懐かしむのは、玉城宏彦さん(87)・英子さん(84)夫妻。パレード最終地点となった浦添市のNTT西日本沖縄支店を訪れた。宏彦さんは戦前の首里城を見学、平成の首里城も何度も訪れていた。「まさか焼け落ちるなんて。だいぶ落ち込んだ」と声を落とした夫妻だが、令和の首里城の御材木を前に「長生きして、またよみがえった姿を見たい」と期待を寄せた。

(安里周悟)