沖尚、終盤猛打の逆転劇で九州V 沖縄開催で“魅せた”地元の意地 秋季九州高校野球


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 高校野球の第151回秋季九州地区大会最終日は29日、沖縄市のコザしんきんスタジアムで決勝を行い、沖縄尚学(沖縄1位)が長崎日大(長崎1位)に8―5で逆転勝ちした。17季ぶり5度目の優勝となり、既に引き寄せている甲子園出場をより確実にした。沖尚は初回に2点、三回に1点を奪われた。四回に仲田侑仁(ゆうと)、石川純平、宮平良磨の3連続適時打で同点に追い付いた。直後の四回に1点を返され勝ち越されるも、七回に知花慎之助の適時二塁打で同点、佐野春斗主将の2点適時打で逆転に成功した。九回は佐野の2点適時二塁打でダメ押し。マウンドは上原秀介、照屋希空(のあ)、儀部皓太朗、東恩納蒼の4人の継投で逃げ切った。沖尚は地区代表として11月18日から東京都で始まる明治神宮大会に出場し、19日の第1試合で夏の甲子園王者・仙台育英(東北地区代表)と対戦する。


 

沖縄尚学―長崎日大 7回1死二、三塁、中前に逆転の2点適時打を放つ沖尚の佐野春斗=29日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(ジャン松元撮影)

 9年ぶり沖縄開催の九州秋季大会で、沖縄尚学が地元代表の意地を見せた。リードされても、勝負強さを発揮して追い付き逆転に成功。9年前と同じく九州の頂点に立った。逆転打を放った佐野春斗主将は勝利インタビューで開口一番、「県開催でなければ絶対に(優勝は)つかめなかった。応援してくれた多くの人に感謝したい」と殊勝に話した。

 相手の先発右腕にタイミングを外され一、二回は三者凡退。三回で初安打が出るも併殺に仕留められ、流れは完全に相手にあった。しかし準々決勝、準決勝で強敵にサヨナラ勝ちを収めてもいて諦めムードはなかった。四回に4安打で同点。守備からリズムをつくって徐々に流れを引き寄せた。

 3―4で迎えた七回。1死から下位打線が安打でつなぎ、1番知花慎之助の適時二塁打で追い付く。なお1死二、三塁で続く佐野は応援の力を感じながら、直球を中堅へライナーではじき返す。走者2人がなだれこむように生還し、球場は歓喜の渦に包まれた。

 得点力を課題としたチームは九州大会を通し、劣勢をはね返す強さを得た。佐野は「まだまだ完成されていない。もっと良いチームに(状態を)上げていく」と前に進み続ける決意を示した。

(金良孝矢)