ルーツ、移民研究に熱 今帰仁出身、アルゼンチンの山城さん 「ヒヤミカチ節」作詞の平良新助氏ら調査


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當山久三氏の亀甲墓前に立つ(左から)WUBハワイ会長(当時)の田里ジョン氏、山城弘美さん、WUB創設者のロバート仲宗根氏=2015年

 アルゼンチン在住で今帰仁村出身の山城弘美さん(74)がここ数年、沖縄移民の研究を行っている。アルゼンチンの近隣国、特にブラジルやボリビア、ペルーを旅している。山城さんは同村出身の偉人・平良新助氏のほか「沖縄海外移民の父」と呼ばれる當山久三氏についても研究しており、新しい発見もあったという。

 山城さんは2015年度に、平良新助氏の孫・平良大海さんを探すためにハワイへ足を運んだ。世界ウチナーンチュ・ビジネス・ネットワーク(WUB)ハワイの友人や知り合いなどを通じて、大海さんを見つけることができた。

 ハワイではWUBの方々に迎えられ、平良新助氏と當山久三氏のお墓参りをした。その後、WUB設立者のロバート仲宗根さんの協力もあって新助氏の孫、大海さんと顔を合わせた。

 「平良新助伝」の本を貸してもらい、旅行中に読み進めるなど研究を続け「すごく偉い方だということが分かった」と振り返る。

 「平良新助伝」を大海さんに返す前に、沖縄中の古本屋や歴史移民資料館などを探したが、同じ本はどこにも見当たらなかったという。「平良新助伝」の本を手にすることはできなかったが、南風原町の資料館で當山久三氏が平良新助氏に送った1通の手紙を発見したという。

 アルゼンチンに帰ってからインターネットで、南風原町の資料館や南風原文化センターについて調べた。手紙に関しメールを送信すると、同センターから返信が届いた。担当者がワードとPDFファイルで手紙を送ってくれたという。「当時の手紙を読んでみると、當山久三氏と平良新助氏が素晴らしい功績を残したことを改めて感じた」と山城さん。

 平良新助氏は「ヒヤミカチ節」の一節を作詞したほか、おもろ歌唱者の山内盛彬氏も詞を生み出す作業に加わったことを知った。「まだまだ偉大な史料が出てくるだろう」と感じている。

 山城さんは31日開幕の第7回世界のウチナーンチュ大会についても「大成功を祈っている」と話していた。
 (大城リカルド通信員)