待機児童ゼロを目指す 渡嘉敷村長に初当選、新里武広氏に聞く


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渡嘉敷村長選で初当選し、今後の抱負を語る新里武広氏=日、渡嘉敷村渡嘉敷の自宅

 【渡嘉敷】県内選挙イヤーの最後を締めくくる渡嘉敷村長選が10月30日に投開票され、新人の新里武広氏(58)が現職の座間味秀勝氏(58)を148票差で破り初当選を果たした。勝因や今後の村政運営などについて聞いた。
 (聞き手 金城実倫)

 観光「長期滞在型」へ

 ―現職を148票差で破った。何が勝因か。

 「職員とのコミュニケーション不足や公正、公平な村政運営がなされていないなど、現職への不満が自分への期待につながったと思う」

 ―最初に何に取り組みたいか。

 「職員のスキルアップと専門職の人材確保だ。保育士不足によって待機児童が解消されていない現状がある。保育士を確保し、待機児童をゼロにしたい」

 ―子育て支援については。

 「中学生までの医療費助成を18歳までに広げる。県などの補助や村独自の財政でできるかも含め、医療費負担ゼロを目指したい。給食費の無償化についても、県の予算を活用して実現を図りたい」

 ―第1次産業については。

 「農業では担い手不足の解消に向け、耕作放棄地を再生利用し、農地拡大を図り、農業所得を向上させたい。また、小中学生の社会体験に農業、漁業を取り入れ、第一次産業の魅力を伝えたい」

 ―産業振興については。

 「コロナ禍で影響を受けた村経済の回復のために、村商工会との協働で、村内企業の育成と支援をしっかりと行い、所得向上につなげていく」

 ―観光産業については。

 「島の食材や自然を生かして、のんびりと心と体がくつろげる長期滞在型の観光など、渡嘉敷でしか味わえない付加価値を高めた観光をつくりたい」

 ―来年3月28日は集団自決(強制集団死)から78年だ。

 「県内外の修学旅行を積極的に受け入れ、渡嘉敷から平和を守る活動を発信していく。悲惨な沖縄戦や集団自決を後世に継承するために、平和ガイドの養成にも積極的に力を入れたい」

 ―村民に伝えたいことを改めて。

 「希望に満ちた明るい渡嘉敷村にするために、人と人とのつながり、人への思いやり、ねぎらい、いたわりの心を大切に、優しさあふれる村づくりを目指していく」



 新里武広氏(しんざと・たけひろ)1964年8月22日生まれ。村渡嘉敷出身。日本福祉教育専門学校卒。95年に村役場入り。村経済建設課長、議会事務局長などを務め、10月18日に退職。