ペットの命守りたい「愛玩動物看護師」が誕生へ あす予備試験、2月に本試験 従業員受験で一部の動物病院が休業も


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耳を治療する犬を押さえ、獣医師を補助する仲宗根恵利沙さん=2日、浦添市内の動物病院

 動物病院で獣医師を補助する愛玩動物看護師の国家資格試験が来年、初めて実施される。取得すれば、獣医師の指示の下で一部の医療行為が可能となる資格で、11月6日には予備試験、来年2月19日に本試験がそれぞれ県外で行われる。ただ、一部の病院では試験日の従業員不足で診療制限も予想されるため、沖縄県獣医師会は病院の利用頻度が高い飼い主に対してはかかりつけ医へ診療体制の確認を呼びかけている。

 愛玩動物看護師はペットの寿命の延びや高度化する獣医療に対応する目的などで制度化された。大学で指定科目を学ぶほか、養成所で3年以上必要な知識や技術を習得した人が対象となる。法施行前から動物病院で働く人は累積で5年以上の実務経験が必要で、本試験前に予備試験を受ける必要がある。

 国家資格を取得すれば獣医師の指示の下、採血や輸液の注射、マイクロチップの装着、カテーテルの留置などが可能となる。県獣医師会の工藤俊一会長は「サービス向上だけでなく、職員の地位向上にもつながる」と、新たな国家資格に期待を寄せる。

 浦添市内の動物病院で働く仲宗根恵利沙さん(31)は6日に福岡県で行われる予備試験を受ける予定だ。専門学校卒業後から働き始めて9年目。朝から混み合う日々に「業務範囲が広がれば、利用者を待たせる時間も減り、獣医師も今以上に治療に集中できる」と語る。高校時代に愛猫と死別した時、「もっと何かしてあげられたら」と思い、目指した職。積み重ねた実務経験に加え、資格取得でさらなるステップアップを目指す。

 現在、県獣医師会に加盟する動物病院は68カ所。従業員の体制はさまざまだが、来年2月の本試験の受験者は予備試験以上に多いと予想される。工藤会長は「従業員が少ない病院では試験日前後に閉めることもあり得るので、利用者は事前に確認してほしい」と語った。

(嘉陽拓也)