復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉11月6日「激しい企業の土地買い占め/目立つ官僚とのゆ着」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年11月6日の琉球新報1面トップは、「激しい企業の土地買い占め/県下で2千万平方メートルも/公明党が実態調査報告/防潮・防風林も強引に/目立つ官僚とのゆ着」との見出しで、日本復帰で県内外の企業が沖縄の土地の買い占めを進行させている実態を報告している。記事では「沖縄での土地売収実態の特徴として①海洋博会場予定地周辺を中心におもに海洋レジャー基地のための観光資本による買い占めがいちじるしい②企業と官僚のゆ着がみられる③このためモデル農場指定場や防潮、防風林地域まで売却されている④過去2カ年で地価が10ー100倍にハネ上がっている」と指摘している。

 土地買い占めの一覧を表にして掲載しており、海洋博会場・周辺地域などで本土からは西武環境開発や日本国土開発などの本土企業名が並ぶ。先島では、本土から名古屋鉄道などの企業名が報告されている。

 沖縄への自衛隊配備に関連して「F104、あす配備/18機、自衛隊那覇基地に」との見出しで、7日に空自のF104J迎撃戦闘機18機と、練習用のF104Jが2機とT33練習機4機の計24機が配備される予定を伝えている。

 11月19日投票の那覇市長選で「告示まであと3日/市議補欠選も決選投票に」との見出しで市長選の日程を紹介している。記事では「総選挙前の前しょう戦として保守、革新の力の入れようはさる県知事、県議会選挙なみ。序盤戦の取り組みは翁長助静氏(保守系無所属)を推す市民協が一歩リード。(中略)一方、平良良松氏(社大党公認)の支持母体である市政革新共闘会議は、ようやく4日からチラシの配布に取り組むなど大きく立ち遅れている」と保革両陣営の動きを伝えている。

 

 

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。