那覇の街並みを3Dで精緻に再現 市が専用サイトで公開 災害時のシミュレーションや都市開発への活用期待


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3次元デジタル地図で示される津波襲来時の浸水が想定される那覇市中心地(プラトーより)

 那覇市は、都市の街並みを精緻に再現した3次元デジタル地図を県内自治体で唯一公開している。誰でも無償で二次利用できる「オープンデータ」の一つで、専用サイト「プラトー」から入手できる。全国の自治体や企業ではプラトーを活用して災害時のシミュレーションや都市開発、メタバース空間の制作などが進む。企業や市民が活用し、新たなサービスを生み出すことが期待される注目のオープンデータだ。

 ただ県内では認知度が低く、活用事例はほとんどないとみられる。那覇市DX推進室の担当者は「市民や企業が課題解決のための材料として活用し、市に事例を知らせてほしい」と話している。

 プラトーは国土交通省が20年度に「まちづくりのDX」を目指して立ち上げた。市が法定調査に基づいて取得した建物の名称、建設年、用途、行政計画といった「属性情報」がプログラムされている。現在、那覇市も含む全国56都市の3次元デジタル地図が公開されている。

 サイトでは県が公表した津波襲来時の想定浸水区域などの情報を組み合わせることで、市内の建物の何階までが浸水するかなどが視覚的に把握できる。

 大手検索エンジンが提供する類似の地図サービスもあるが、建築物に属性情報は付与されておらず、コンピューターでの処理がしづらいといった違いがある。

 企業ではプラトーが保有する建築物のデータと人流データを組み合わせ、ビルの階層別に混雑率を可視化したり、太陽光発電を設置する前に日照率をシミュレーションしたりするサービスなどが開発されている。

 DXに詳しいりゅうぎん総合研究所の志良堂猛史特命部長は「プラトーの建築物は一つ一つがコードを有しており、機械判読がしやすい。民間では取得が難しいリッチなオープンデータだ。行政と民間が連携してオープンデータを活用し、課題解決につなげてほしい」と話した。

  (梅田正覚)