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軍が実権を握る祖国に残る家族を気遣う人たちがいる。在沖縄ミャンマー人会のトゥンミャッモさん(27)は、同会が6日に那覇市のさいおんスクエア前広場で開く、故国の満月の祝日「タディンジュ」で三線を披露する。「ミャンマーの現状を知ってもらい力を貸してほしい」。そう願いながら練習を重ねてきた。
交流通し 「若い人も関心を」
母親や妹、弟たちはヤンゴンに住む。5歳の時に父を病気で亡くし、母が縫製の仕事で子どもを育てた。ヤンゴンの日系IT企業に就職し、2018年に来日。21年に沖縄に移住し、母に仕送りを続けている。
沖縄に来る直前にクーデターの報に接し、「信じられない」との思いだった。10年にアウン・サン・スー・チーさんの自宅軟禁が解かれ、民主化の兆しも見えていた。
クーデター後、軍は市民への弾圧を日増しに強めた。デモ参加者を銃で撃ち、暴力を加え、リーダーの遺体を見せしめとしてさらした。自宅で鍋をたたき、抗議の意思を示す人々も軍は拘束したという。「国民は軍の“奴隷”みたいだ。軍は自分たちのことしか考えていない」と憤る。
ミャンマー人会が企画した国の現状を伝える写真展やイベントなどで沖縄戦や戦後の米国の圧政を体験した高齢者らが涙を流してくれた。その姿に「悲しい思いをさせている」と苦しい思いもしてきたが、共感してくれることをありがたく感じてもいる。三線による交流で若い世代にも関心を持ってほしいと望む。
国の未来に希望が見いだせない中で母親からは「戻ってこないで」と言われている。「どうしたら国が変わるのか見えない」。複雑な思いを抱えながら、沖縄で祖国の現状に向き合い続けようと三線を奏でる。
(中村万里子)