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宮古のクマネズミ、いつ、どこから来た?―。京都大総合博物館の本川雅治教授らの研究チームはこのほど、宮古、多良間、与那国の各島にいるクマネズミの中にこれまで日本で確認されている系統群とは別の個体が含まれていることを明らかにした。
日本哺乳類学会英字誌電子版に5月2日付で論文を発表した。
クマネズミは家や耕作地といったヒトの生活域に生息し、ヒトの移動とともに分布域を拡大してきたとされる。長年1種とされてきたが、遺伝子解析が進んだ近年は別種とも呼べる6系統群に分かれていることが知られている。沖縄を含む日本では系統Ⅰ群とⅡ群が生息していることが確認されていた。
研究チームは2015、16年、20年に宮古島、多良間島、与那国島で捕獲されたクマネズミ13匹の遺伝子を解析。結果、インドシナ半島を起源とし東南アジア島嶼(とうしょ)部、南アジア島嶼部に生息している系統Ⅳ群が混じっていることを確認した。与那国で捕獲された個体はフィリピン、インドネシア、スリランカの系統群と類似していることも分かった。
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本川教授は「系統Ⅳ群がいつ、どのような経路で宮古、多良間、与那国にやってきたのか、新たな謎が浮かび上がった」と指摘。その上で「イリオモテヤマネコやヤンバルクイナといった固有種が注目される沖縄の自然だが、東南アジアとの交易といったヒトの活動と自然との関わりを考えていく上で興味深い」と述べた。本川教授らは今後も分布拡大経路を調べていく。
(安里周悟)