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売るのは家具だけではない チェーン店ができないことを 社長が語る今後の戦略<暮らしを豊かに・家具の「大川」>7


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
これまでの歩みや今後の展開などについて話す大川の外間幸一社長=沖縄市与儀

 全国的に家具店の数は減少し、大型化が進んでいる。時代の変化と共に、沖縄という狭い商圏で61年にわたって家具店を続けてきた「大川」。今後、どのような戦略で経営していくのか。外間幸一社長に聞いた。

 ―「大川家具」「ビビホーム」「Furniture MAX大川家具」など61年間で店の名前が頻繁に変わっている。
 「沖縄は人口が多くない。食料品などは購入頻度が高いので同じような店を作っても成り立つが、家具は購入頻度が低く同じ業態の店をいくつも作れない。だから複数の業態を展開しないといけない。もう一つは時代と共にお客さんの生活が変わっている。時代に合った品ぞろえの店にするために業態は絶えず変化している」
 「創業者は『呉服屋は百貨店になった。街の商店はスーパーマーケットになった。いつの時代も人々の暮らしは変わる。家具屋も時代と共に変わらなくてはならない』と繰り返し言っていた。社名が『大川家具』ではなく『大川』なのも、売るのは家具にとどまらないという意味が込められている」

 ―全国チェーンの大型店が店舗を増やしている。
 「チェーン店は全国どこでも同じ商品を同じ規模で売る。それぞれの地域の生活に応じて商品の幅を広げることはしない。我々は地域のニーズに合わせていろんなものを扱うことができる。チェーン店ができないことをする。小売業は客の近くにいる方がニーズを捉えやすい」

 ―多くの家具小売店が消える中、生き残ってこられたのはなぜか。
 「日々新しいものに目を向ける。現場を見る。お客さまを見るということをやってきた。常に挑戦してきた。失敗しても、それをどう次に生かすかだ」

 ―今後、家具小売業はどうなるか。
 「販売する場所が変わっていく。EC(電子商取引)があれば実店舗がなくても販売できるので、出店する、店を大型化するという時代ではなくなる。商品も変わっていくだろう。県民が求めるものを見つけて商品化したり、提案したりできるかが重要なところだ」

 ―配送を自社でやる、デザイナーも自社で抱えるなど、コストがかかることをやっているのはなぜか。
 「次の時代のためだ。アウトソーシングすればコストダウンはできるが、自分たちには何も残らない。自分たちでやれば次の時代を自分たちの手でつくれる。現場の本質を知る人材を育てて、次の時代をつくっていく」

 (聞き手 玉城江梨子)
 (おわり)