復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉11月7日「尖閣問題は日中で折衝と大平外相」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年11月7日の琉球新報1面トップは、「日航機乗っ取り犯捕まる/乗客・乗務員は無事/容疑者〝キューバに行きたい〟」との見出しで、羽田発福岡行き日航351便が名古屋上空通過後にハイジャックされた事件で、容疑者が羽田空港で代替機に乗り移ったところで逮捕されたとの記事を大きく掲載している。関連記事で容疑者の話として「金を取ったあと落下さんで脱出図る」との供述を紹介している。

 衆院予算委員会で日中共同声明に関して領土問題の取り扱いについて問われた大平正芳外相が「尖閣問題、日中で折衝」と答弁した記事を掲載している。記事では公明党の正木良明議員が「日中共同声明では(日中間の)領土問題についてふれられていないが、この問題は(日中)平和友好条約にゆずったというのか、または(この問題について日中間の)話は完了ずみというのか」と質問。大平外相が「共同声明は政治的な原則、政策の表明ということでつくりあげた。このままの状態で的確な平和友好条約ができるとは思わない。こんご双方の友好関係で義務を果たしていくことになる」と述べ、領土問題については「日中両国でこんご調整、折衝しなければならない状態にある」と答弁している。

 沖縄の米軍の心理作戦部隊がベトナム戦争で散布された北ベトナムの偽造紙幣を扱っている問題で「米軍〝ニセ札〟で追及/衆院外務委員会/国内法適用に疑問」との見出しで、国会で取り上げられた様子を紹介している。大平外相は「事実を確認していない」としながらも「訴えられるようなことであれば、米側に遺憾の意を表明したいと答えている。

 復帰後の沖縄の土地を県内外の企業が買い占めていることが発覚した問題で「強い規制措置を検討/宮里副知事/自然保護地域のワク広げる」との見出しで、沖縄県庁の対応を紹介している。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。