日本とアジアの若者が戦争の教訓を未来へ 5カ国7地域の大学生が沖縄で研修やオンライン交流 12日に公開シンポ


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県平和祈念資料館職員から「平和の礎」について話を聞く沖縄、広島、長崎の大学生ら=8日、糸満市の県平和祈念公園

 沖縄を含む5カ国7地域の大学生が参加する「『平和への思い』発信・交流・継承事業」(県平和祈念資料館主催)が、6日から県内で始まった。12日までの日程で、日本やアジアの若者たちが対面とオンラインでそれぞれの地域の戦争や内戦の歴史を学び、教訓を共有する。3日目の8日は、沖縄と広島、長崎の大学生16人が、糸満市の県平和祈念資料館や平和の礎で沖縄戦について学んだ。

 同事業は互いの国の歴史を認識し、アジア全体の平和を目指すことを目的に2019年に開始した。初年度はアジア各国の若者が来県して催されたが、新型コロナウイルスの影響を受け20年から海外の学生はオンラインで参加している。

 8日午前は、日本の学生ら16人が対面で県平和祈念資料館職員や同館友の会の久保田曉会長(77)の話を聞いた。沖縄戦体験を語り継ぐ久保田会長に対し、広島の大学に通う19歳の学生は「戦争を全く知らない世代に伝える時に気をつけていることは?」と質問した。久保田会長は「身近な生活の話から始めて、戦争で生活の何が失われるのかを一つ一つ伝えている」と答えた。

 学生の祖母は長崎県出身で被爆者だ。父や親戚から祖母の戦争体験を伝え聞き、戦争に関心を持ったという。「私は愛媛出身で周りは戦争を知らない人が多い。沖縄や広島・長崎以外の地域の人たちに戦争体験をどうしたら伝えていけるのか考えたい」と述べた。

 同日午後は韓国と台湾の学生が、オンラインで済州島の「4・3事件」や台湾の「2・28事件」について発表した。広島から参加した18歳の学生は「海外の学生が平和に向けてどう行動しているのか学びたい」と話した。

 9日は県内の戦跡や米軍基地を見学する。12日午後2時から、那覇市の八汐荘屋良ホールで「アジアの若者とつくるこれからの平和」と題し、公開シンポジウムを開催する。研修で学んだことを踏まえ、学生たちが「どうやって平和な社会をつくるか」を議論する。シンポジウムはYouTubeでも配信する。入場無料。問い合わせは沖縄平和協力センター、電話098(866)4635。メールはhiguchi@opac.or.jp

(赤嶺玲子)