〈130〉脳卒中になってから 退院後も「活動育む」支援


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 ご家族やご親族が脳卒中になったと説明を受けてまず気になるのは「命に別状がないのか」だと思います。そして、次に気になるのは「今まで通りの生活ができるのか」「歩けるのか」「食事ができるのか」「仕事ができるのか」などの「障害」についてだと思います。

 脳卒中による死亡率や患者数は昭和の時代に比べて減ってはいますが、寝たきり(要介護5)の原因として最も多く、命は助かってもその後の障害や後遺症に悩まされる方が多いです。

 脳卒中と聞くと手足の麻痺(まひ)を真っ先に思い付くかもしれませんが、高次脳機能障害、嚥下(えんげ)機能障害、構音障害、感覚障害など麻痺以外にもさまざま後遺症が問題となることがあります。麻痺以外の問題のため自宅での生活が難しいケースもあります。

 急性期での治療を終え、障害が残っている場合はリハビリを中心とした治療が必要となります。リハビリテーション病院では、麻痺などの運動障害の改善を目指す運動療法や、日常生活を送る上で必要な動作訓練、嚥下機能や言語機能・高次脳機能障害に対して言語聴覚療法などを患者さんの状態に応じて行い、障害の改善を目指します。

 しかし、リハビリを行ったとしても元通りの状態にまで改善することが難しい場合もあり、その場合は、住宅環境や社会福祉サービスの調整を行い、障害が残ったとしても安心して生活できるような支援も併せて行っていきます。

 リハビリテーション病院を退院した後も、獲得した機能を長期に維持するために、訪問サービスや通所サービスを利用しリハビリを続けることも大切です。復職や自動車運転再開の希望があれば、訓練や支援を受けることも可能です。

 リハビリテーション医学の目標は、機能障害を回復し、残存した障害を克服しながら人々の「活動を育む」ことにあります。リハビリに関わるスタッフは、機能障害に対する訓練はもちろんのこと、障害が残存しても安心して生活でき、人生を謳歌(おうか)できるような治療・支援を行っています。

(岡本明幸、ちゅうざん病院 リハビリテーション科)