米軍那覇港湾施設(那覇軍港)に船で陸揚げされ、駐機していた米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ3機が9日、それぞれ離陸し、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場に着陸した。県は那覇軍港での航空機の離着陸について、沖縄の日本復帰時に米軍基地の使用目的などを定めた日米合意(5・15メモ)に沿っておらず、施設の目的外使用に当たるとして、実施しないように求めてきた。
玉城デニー知事は同日、報道陣の取材に対し「那覇軍港で航空機は飛行しないことが前提と認識しており、陸揚げした機体は陸送するのが筋だ。5・15メモの内容が違うのであれば、メモの見直しなどもまた厳しく協議をしないといけない」とけん制した。
米軍は琉球新報の取材に対し「MV22は定期的に那覇軍港に入港・出港しているが、これは標準的な使用方法であり、那覇軍港の主目的と一致し、既存の協定に従ったものだ」との見解を示していた。浜田靖一防衛相も航空機の運航について那覇軍港の使用主目的に合致しているとして米軍に離陸の自粛は求めず、飛行を追認する考えを示していた。
米軍は6月に普天間飛行場所属MV22の3機を那覇軍港に飛来させ、輸送船に乗せて海外に搬出した。今回の機体は米カリフォルニア州ミラマー基地所属部隊名の記載があり、搬出された機体の代わりに普天間へ駐留するとみられる。
3機は6日に陸揚げされた後、那覇軍港に駐機してエンジンの整備・点検などを実施していた。9日になりエンジン吸気口のカバーを外すなど飛行に向けた準備作業を始め、同日午後1時5分、同12分に2機が立て続けに離陸し、残り1機は同3時35分に離陸した。 (梅田正覚、武井悠)