「気負わず見てもらえたら」 鈴木杏や坂本昌行が出演、栗山民也演出 殺人事件軸に「裁き」問う 演劇「凍える」 なはーとで来月10,11日


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女優の鈴木杏さん

 演劇「凍える」(ブライオニー・レイヴァリー作、平川大作翻訳)が12月10、11の両日、那覇文化芸術劇場なはーと大劇場で上演される。少女が犠牲になった連続殺人事件を軸に、「裁く」ということについて問いかけるヒューマンサスペンスを栗山民也演出で披露する。同作で精神科医アニータを演じる鈴木杏は「大変な戯曲だと今でも思っている。覚悟はいるかもしれないが、気負わず見ていただけたら」と話す。

 小児性愛者の連続殺人犯ラルフ(坂本昌行)が逮捕される。20年前に10歳だった娘をラルフに殺されたナンシー(長野里美)と、アニータが、ラルフと対峙(たいじ)する。交錯する言葉を通じて、3人は互いのいてついた心を交差させていく。
 鈴木は「余白がたくさんあるお芝居で、どの道も選べる怖さがある」と語る。舞台に立つときは、登場人物が発する言葉の意味や背景を考え、稽古の中でそれらを昇華させる。しかし本作には「説明できない感情が多くあり、揺らぎというか、説明できないものの豊かさを感じた」という。
 本作について、坂本は「普段の生活では、なかなか起こり得ない、また、センセーショナルな内容だが、非常に考えさせられる舞台になっている」と公式ホームページでコメントしている。

 鈴木は「作品自体が『裁く』という、白黒はっきりさせることで、宙に浮いてしまうものがあると言っていると思う。同じようなことを人間の感情についても感じた。演者としても人間としても大きなものを教えてもらっている」と作品の魅力を語る。「感想は人それぞれ。素直に感じたままで受け取ってくださればいい」と来場を呼びかけた。
 (藤村謙吾)

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 両日共に午後1時開演。料金は一般9千円。25歳以下4500円。問い合わせは電話098(898)1331(月~木の午前11時~午後2時)。