米軍が通告なく訓練準備 慶良間諸島周辺の区域外で 中止要求受け変更


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米軍が久場島周辺で訓練に使う予定で置いていった梱包されたボート=8日、座間味村阿嘉(村石健一通信員撮影)

 米空軍嘉手納基地の第31救難中隊が10日までに、米軍の提供区域外となる座間味村の無人島・久場島でレスキュー訓練を県などへの事前通告なく、実施しようとしていたことが明らかとなった。県などからの中止要請を受け、10日に訓練の場所を変更したが、訓練区域外を自由に使用しようとした姿勢に懸念の声も上がっている。

 座間味村の宮里哲村長は「久場島を含む慶良間諸島周辺はダイビングなどを楽しむ観光客が訪れる。突然の訓練は観光にも影響を及ぼす。米軍はルールを守り、提供区域内で訓練を実施すべきだ」と指摘した。

 訓練の実施について、県は8日、座間味村からの情報を得て、沖縄防衛局に照会した。沖縄防衛局の回答によると、米軍は「久場島付近で模擬患者を乗せたボート訓練」を10日に実施すると回答した。同局は久場島付近ではなく、可能な限り、提供水域内で訓練を実施することなどを申し入れたと県に説明した。県は沖縄防衛局に訓練の中止を米軍に働きかけるよう要請した。

 関係者によると、8日に座間味村などが運営する阿嘉島の国立公園ビジターセンターに米空軍関係者が訪れ、ボートを置かせてほしいなどと要請した。米軍はボートをフェリーに乗せ、車両で阿嘉港に運び込んだという。目撃者によると、ボートは幅1メートル、長さ約1・5メートルの円柱状に梱包(こんぽう)されていた。

 嘉手納基地を運営する第18航空団は10日午後、取材に対して「訓練は久場島付近での訓練を除外するように変更された。水難救助訓練活動は、指定された軍事訓練場内でのみ行われる」として、訓練区域での実施に変更したことを明らかにした。

 提供区域外の訓練を巡り、米軍は今年3月に名護市の名護湾で通告なしにヘリによるつり下げ訓練を実施したほか、4月には北谷町の砂辺海岸沖で救難ヘリの低空飛行訓練を実施するなど、今年に入り頻発している。(池田哲平、金城実倫)