沖縄の未来を拓く人を育てる学校に 藤川伸治(教職員のメンタルヘルスプロジェクト事務局長)<未来へいっぽにほ>


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藤川 伸治さん(教職員のメンタルヘルスプロジェクト事務局長)

 先日、那覇で教職員のメンタルヘルス対策に関わるシンポジウムを開いた。私は主催者を代表して登壇し、県内の精神疾患による病気休職率が全国ワーストであることは、学校だけの問題ではなく「社会問題である」と訴えた。

 半嶺満県教育長は6月の県議会定例会代表質問で、60名の教員が不足していると答弁した(6月1日時点)。不足の理由は「新たな病気休職や育児休業などの取得」と述べた。琉球新報は10月13日付の紙面で、小中学校の学級担任未配置が9月当初で52名、小学校では6月比で3倍以上増加したと報じた。

 県教委は管理職などが授業をするなど、子どもの学習に支障がないように対応しているというが、教員不足の学校では業務を代行する教員が一層忙しくなる。忙しくなると、子どもたちの学力が低下する。落ち着きがない子どもの増加を感じる教員の割合が高くなることも、科学的に証明されている。忙しくなると精神的な余裕が失われ、しかめっ面で子どもと向き合うようになる。当然、学校へ行きたくない子どもは増える。

 心身共に健康な教職員がたくさんいる学校か、しかめっ面をした教職員ばかりの学校か―。子どもがどちらの学校へ通いたいと感じるか、考えてみてほしい。教職員のメンタルヘルス対策とは、精神疾患で病休を取得する教員を減らすだけはなく、健康な教職員が愛情をもって子どもに向き合う学校をつくることだ。

 子どもの笑顔が増え、生きる意欲が高まり、学力も向上する。そんな学校で学ぶことで、沖縄の未来を拓(ひら)く人材が育つ。沖縄の未来のために、私たちを応援してほしい。