医療ケアの子に保育士が遊びを提供 「家族だけで頑張らず相談を」 訪問看護ステーション「わらば~」 沖縄・那覇


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「家族だけで頑張らず訪問看護も頼ってほしい」と話した赤嶺三枝さん(右)と池宮城美緒さん=1日午後、那覇市与儀の訪問看護ステーション「わらば~」

 0~18歳までの子どもがいる家庭を訪問し、看護師による医療ケアや保育士による遊びを提供する、小児に特化した訪問看護ステーション「わらば~」(那覇市与儀)がこのほどオープンした。従来の訪問看護に加え保育も提供する形は県内で初めてとみられるという。

 訪問看護は主治医の「訪問看護指示書」をもとにして行う。医療保険を使う場合は通常週に3回、1回30分~1時間半利用でき、子どもや家族の状況に応じて利用時間などが変わる。

 看護師は在宅酸素や経管栄養などのケア、人工呼吸器、カテーテル・人工肛門の管理などをする。わらば~ではそうした医療ケアに加え、訪問する家庭の子どもに合わせて保育プログラムを組み、利用時間内で季節に合わせた製作をしたり絵本を読み聞かせたりといった「遊び」を通じて五感を刺激する機会を作る。

 看護師の池宮城美緒さん(39)は「訪問看護は医療に偏りがちになってしまう」と遊びまで手が回らないことが多い現状を語る。決められた時間の中でケアをしなければならないが、保育士がいると看護師が子どもの入浴を介助している間、保育士が傍らで一緒に歌を歌うなど、随所に遊びを取り入れやすくなる。

 保育士の赤嶺三枝さん(41)は「医療ケアが必要で家から出られなくても、保育を提供する上では障がいのあるなしや場所は関係ない」と話す。「遊びを通して子どもはさまざまな経験ができる。子どもが楽しんでいる姿を見ると保護者も安心するのではないか」とその意義を語った。

 訪問看護は産後うつなど、母親のケアが必要な場合でも医師の指示書があれば利用できる。その際は母親が休んでいたり看護師が相談に乗ったりしている間に保育士が子どもに保育を提供する。発達障がいでも指示書があれば利用可能で、保育園などとも連携しながら個別支援プログラムに沿って支援し、発達や成長を促す。また休養(レスパイト)や家族の用事などが理由でも利用できる。

 赤嶺さんは「子どもは家族だけでケアをするのが当たり前と思っている人も多いはず。まずはいろんな訪問看護の使い方ができるということを知ってもらい、私たちを頼ってほしい」と話した。

 現在は那覇市を中心に近隣市町村に限って対応している。問い合わせは電話098(894)6658。詳細はホームページhttps://waraba.co.jp/から。
 (嶋岡すみれ)