多良間村が8000万円支払いへ 製糖工場追加費用を求める訴訟 和解案、村議会が議長裁決で可決


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多良間製糖工場(村提供)

 【多良間】多良間村議会(福嶺常夫議長)は15日の臨時議会で、村の新製糖工場に機械を導入した東京都の製造設備会社が村に追加費用1億9千5百万円と遅延損害金を求めた訴訟を巡り、那覇地裁から勧告された和解案に応じる議案を可否同数(賛成3、反対3)の議長裁決で可決した。村は今後、会社側と和解に向けて協議する。

 那覇地裁が10月31日付で村に追加費用8千万円の支払い義務があるなどとして和解を勧告した。村はこれまでに約1億円を支払っており、和解が成立すると支払額は計1億8千万円になる。

 伊良皆光夫村長は議会で「訴訟を継続した場合と比較し、和解勧告に同意した方が有利と思われるため判断した」と説明した。議案に反対した村議らは追加費用について「村の工程管理が不適切だったことが原因ではないか」「村長の進退も含めて責任を明言すべきだ」と追及した。伊良皆村長は「この問題が解決した時点で検討する」とした。

 訴状などによると村と設備会社は2015年に圧搾機など設備機械の設置契約を締結した。17年に設置完了を予定していたが、別会社による工場基礎工事が18年6月までずれ込んだ。会社側は重機リース料や人件費など約3億円の追加費用の支払いを村に求めた。

 両者は18年3月に追加費用1億円の支払いと超過分は工事完了後に協議して確定することで合意した。会社側は20年3月に約2億円の追加費用の支払いを求めて那覇地裁に提訴した。村は同年5月に18年3月の合意に基づいて約1億円を支払った。
 (佐野真慈)