パイオニアの姿 リーダーに学ぶ言葉の力 崎原末子(フレンズ&5代表取締役)<女性たち発・うちなー語らな>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
崎原末子氏

 リーダーに求められるべきは言葉の力、何を語るかというより“誰が語るか”だということをよく耳にする。復帰前後の沖縄を生き抜いた5人の言葉は心に残り全身に染みた。

 沖縄県女性の翼では、宿泊研修会で復帰50周年特別企画「沖縄(うちなー)女性の歩んだ道」と題し浜美枝さんの基調講演とパネルディスカッションを行った。

 登壇者は元県看護協会会長の大嶺千枝子さん、オーディフホールディングス会長の普天間初子さん、元県出納長の新垣幸子さん、元県議会議員の山城ヒロ子さん。一人一人が実践者であり指導者。パイオニアたちの経験に基づく発言は新鮮で発見が多かった。年齢はまったく関係ない。各氏は家族や周囲の仲間たちの支えで困難を乗り切ったと話していたが、艱難辛苦(かんなんしんく)もあったに違いない。

 看護の専門性を高めるため看護行政にも力を注いだ大嶺さんは「看護教育が大学教育に至るまでに半世紀かかった」と語った。その言葉は各分野の草分けである4人も共通の思いだったのだろうと感銘を受けた。道なき道を切り開いた4氏に称賛の拍手が送られた。

 「声がかかったら決して断らず、どんな役職でも引き受けましょう。そしてそれを引き受ける力をつけるために学び、経験しよう」といろいろなところで女性リーダーからよく言われてきた。私が社会人となってふと気づいたのはそんな女性リーダーたちからの励ましのエールとは裏腹で、いつも主な役割分担の優先は男性だったように思う。

 また、女性も役割を担う意識が足りなかったのだろう。行政がうたう男女共同参画社会づくりの理想とこの現実の中でむなしさや憤りは先の先輩方の比較にはならないが心が折れかかったことが何度もあり話を聞きながら思い出していた。
 次の日の講師である松本哲治浦添市長の話は時代の移り変わりをまざまざと感じさせられた。リーダー登用は能力主義で部長級幹部15人中5人の女性部長を輩出し実践している。市長が市内の小学校6年生を対象に、性の多様性について講話しているという。市長の視線はしっかり未来を見据えていた。

 皆さんの暮らすところではどうだろうか? ジェンダー平等やLGBTQはまだ人ごとになっていませんか? まさか“女のくせに”という死語は使っていませんか?

 そして性別役割を期待され生きづらさを感じているのは男性だって同じ。次代を生きる人たちには対等で公平な環境で生きてほしいと願っている。

 リーダーは先人に習い、後輩に教育と機会を与え続けることも大切だと思う。後輩に手を差し伸べ、経験を促し達成の支え手になろう。その積み重ねが明日の沖縄を支えると信じたい。