沖縄の自己決定権問う 国際人権法学会で基地問題を報告


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「国際人権法学会」で議論する琉球大学の阿部藹客員研究員(左から4人目)、高木吉朗弁護士(同5人目)=19日、東京・八王子の中央大学

 【東京】人権をめぐる国内外の問題について研究成果を発表する「国際人権法学会」が19日、東京都八王子市の中央大学多摩キャンパスで開かれた。日本復帰50年を迎えた沖縄の人権問題などについての研究報告があった。

 研究報告では「沖縄の人々の自己決定権」についてまとめた「沖縄と国際人権法」(高文研)を上梓した琉球大学の阿部藹客員研究員が「復帰50年に問い直す『沖縄の人々の自己決定権』という問い」と題して登壇した。沖縄弁護士会の高木吉朗弁護士は、人体に有害とされる有機フッ素化合物(PFAS)が在沖米軍基地周辺で検出されている問題を取り上げた。

 阿部さんは「(沖縄の人々が)政治的社会的経済的文化的発展を自らの意思で決める権利が満たされていないという現実がある」と指摘。「復帰から50年も放置されてきたこの問題について国際人権法の自己決定権の観点からより深めていくことが必要だ」と主張した。

 日弁連で基地問題を研究する部会にも所属する高木弁護士はPFAS問題の経緯を説明した上で、韓国やイタリア、ドイツなど他国の米軍基地の事例を紹介しながら問題の背景にある日米地位協定の不平等性を浮き彫りにした。 (安里洋輔)