「人新世の『資本論』」著者・斎藤幸平さんと玉城デニー知事が対談 沖縄振興を巡り語ったことは


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
沖縄の社会や経済の在り方について意見を交わす斎藤幸平氏(左)と玉城デニー知事(右)=20日、那覇市のジュンク堂書店那覇店

 「人新世の『資本論』」の著者で知られる斎藤幸平さんが20日、那覇市のジュンク堂書店那覇店で玉城デニー知事と対談した。斎藤さんは、沖縄の貧困率の高さや米軍基地問題は資本主義などの「構造的な問題」と指摘し、経済成長を至上とするやり方ではなく、沖縄本来の文化や精神を生かした社会、経済の在り方を提起した。

 斎藤さんは資本主義について「価値や資源などを収奪し、いらないものを外部に押しつけていくシステムだ」と指摘。経済成長を続けても構造的問題は解決されず、自然環境は破壊され、別の地域から搾取を生み出すとした。

 その上で沖縄の社会や経済の方向性について「豊かな自然やゆいまーる精神など、地域性に基づいてつくっていく潜在能力がある。経済成長至上主義でないようなSDGsや沖縄振興計画をつくっていく必要があるのでは」と提起した。地場産業の創出や食糧自給率の向上、自然エネルギーを増やすことも挙げた。

 玉城知事は「おっしゃる通りだ」と応じ、量より質への転換や域内循環の必要性を述べた。2人は、軍事活動や辺野古新基地建設の環境破壊の問題点も共有した。

 斎藤さんは21日、琉球新報ホールで開かれる復帰50年シンポジウム「50年後の沖縄へ 守るべきもの・変えたいこと」に登壇する。 (中村万里子)