「経済特区ではなく、人材特区を目指すべきだ」沖縄の可能性、登壇者の提言に共感 復帰50年シンポ


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シンポジウム「50年後の沖縄へ 守るべきもの・変えたいこと」でパネリストの意見に耳を傾ける来場者ら=21日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(小川昌宏撮影)

 沖縄の日本復帰から50年。米統治下から日本に戻り暮らしぶりは良くなった一方で、失われていく自然や貧困などの深刻な問題が変わらず横たわる。沖縄の今後50年を考えようと、21日に那覇市の琉球新報ホールで開かれたシンポジウムには、多くの県民が来場し、登壇者らの意見や提言に熱心に耳を傾けた。経済的には数々の課題を抱えながらも潜在的な可能性や希望、自立など沖縄が成長を続ける期待感には強い共感が広がった。

 中学校初任研強化指導員の山内治さん(61)=那覇市=は「有意義なシンポジウムだった。沖縄は経済特区ではなく人材特区を目指すべきだと感じた。沖縄のアイデンティティーを大切に、人間性を認め合うことで成長できるのではないか。(パネリストの)『人が大事』という言葉からそう思えた」と人材育成の重要性を再認識した。

 大学時代に沖縄をテーマにした討論会で自分の思いを言葉にできず、苦い経験をしたという大学職員の仲宗根優介さん(26)=沖縄市=は「当時できなかったことをちょっとずつでも埋めたくて、そのヒントになればいいと参加した。実際に聞いてとても参考になった。特別な機会になった」と話し、文化・芸能を継承することやチャレンジする大切さについての提言に同感した。

 JICA沖縄に勤める稲住光祐さん(34)=那覇市=は「首里城が燃えたことをきっかけに、沖縄の歴史や文化をもっと知りたいと思ったけど、どうすればいいか分からず何もできなかった。行動できていない自分を反省するとともに、もっと積極的に動きたいと強く感じた」と刺激を受けた様子だった。
 (謝花史哲、普天間伊織)