かっぱに会える日は 新垣若菜(中部報道グループ)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

written by 新垣若菜(中部支社報道部)

 友人から数年ぶりにラインが届いた。「元気? なぁ、かっぱ見たかもしれへん」。懐かしさがどっとこみ上げてきた。意気揚々と目撃談を語る友人を前に、次に押し寄せてきた感情は嫉妬心だった。

 約10年前、旅先の岩手県遠野市でかっぱ捕獲許可証を手に入れた。そこからかっぱに夢中になった。(1)かっぱは人間の「尻子玉」を奪う(2)かっぱは相撲が好き(3)餌は新鮮な野菜―。口を開けば、かっぱの話をした。水辺があれば「かっぱがいるかもしれない」。それが口癖だった。

 今、私が水辺を見たら思うことは「ここはPFASは大丈夫かな」。県内各地で検出されている有害性の有機フッ素化合物のことだ。そんなことを気にもしたことがないだろう県外に住む友人の話は、うらやましくて悔しくてと複雑な感情が湧いてきて、面白くなかった。いつから、こんなに性格が悪くなったのか。これではかっぱも私の前に姿を現さないだろう。

 友人とのラインのやりとりの後に、かっぱ捕獲許可証の有効期限が気になり、発行元の遠野市観光協会のサイトで確認した。1年だった。とっくに切れていた。「もっとPFAS問題に取り組め」。そう、かっぱに言われているような気がした。許可証の更新はまだ先になりそうだ。

(宜野湾、中城、闘牛担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。