首里城復興へ技をつなぐ 次代の職人育成へ沖縄総合事務局、沖縄県、県立芸大、美ら島財団が連携協定


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協定を結んだ(左から)花城良廣理事長、田中愛智朗総合事務局局長、玉城デニー知事、波多野泉学長=22日、那覇市の首里城公園首里杜館

 2019年に火災で焼失した首里城の復元と復元後の補修に向け、県、沖縄総合事務局、沖縄美ら島財団、県立芸術大学は22日、伝統的な建築技術の継承や人材確保に向けた連携協定を締結した。県は国内外から集めた首里城未来基金を活用して事業局を設置し、23年度から木彫や塗装などの職人を育成するための研修を実施する。木工と木彫の2分野で、4人程度を3年間かけて育成する。

 県首里城復興課によると、首里城復元に必要な職人が不足している。県内では技術を活用する機会が限られていることから、棟梁(とうりょう)級の十分な技量を有する職人が各分野とも1~2人程度しかいない。特に彩色は職人が1人もいない状況で、同課は「伝統技法の継承が危ぶまれている」と危機感を示している。

 従来の人材育成は首里城の指定管理を受ける沖縄美ら島財団が主に担ってきたが、今後は4者による連携調整会議を設置し、各機関が人材や技術の情報共有などで連携を図り、財団以外の機関でも育成を実施するとともに、効果的な技術継承と人材育成を目指す。

 人材不足を指摘する声は火災直後から有識者の間でも挙がっており、4者の連携協定の枠組みは国の「首里城復元に向けた技術検討委員会」(高良倉吉委員長)で必要視されていた。

 沖縄総合事務局の田中愛智朗局長は「将来の首里城を支える技を受け継ぐ人を育てることで、令和の首里城をより良い姿で沖縄の未来に託せるようしっかりと取り組む」とあいさつした。 (武井悠)