伸ばした髪が首里城修復の道具に?沖縄の高校教員が「漆刷毛ヘアドネーション」


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「漆刷毛ヘアドネーション」に挑戦した那覇国際高校教頭の神村智子さん

 【那覇】神社仏閣の修繕などに使われる「漆刷毛(うるしばけ)」に自身の髪を使ってほしいと、那覇国際高校教頭の神村智子さん(53)が4年ほど前から伸ばしていた髪を寄付した。神村さんは元々、医療用ウィッグのために髪を伸ばしていたが、沖縄県教育庁で文化財保護などの業務に携わった経験から「国宝修理や琉球漆器などの漆芸に役立てたい」との思いが強まり、「漆刷毛ヘアードネーション」をすることを決めた。

 「漆刷毛」は、漆工芸や国宝の修理などの際に使用される道具で、神村さんが髪を送ったのは江戸時代からの伝統技法を受け継ぐ漆刷毛師9世の泉清吉さん。一方、漆文化が根付く沖縄でも漆刷毛は首里城などで使用されており、4日から始まった首里城正殿の復興作業でも使われるとみられる。ただ、漆刷毛に使われる人毛の約90%は中国からの輸入となっている。

 神村さんは首里城復興作業を念頭に「わたしの髪でできた漆刷毛が使われるかもと想像するだけでワクワクする」と笑顔。SDGsで掲げる「『世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する』との目標の達成にもつながる」と語った。

(吉田健一)