身長158センチ、小さな体で大きな偉業 賞金王・比嘉一貴が重ねた努力とこれまで【年表と成績表】


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12番、ティーショットを放つ比嘉一貴=27日、高知県芸西村のKochi黒潮カントリークラブ(小川昌宏撮影)

 男子ゴルフのカシオ・ワールドオープン最終日は27日、高知県Kochi黒潮CC(7335ヤード、パー72)で行われ、71で回った比嘉一貴(本部高―東北福祉大出)が通算12アンダーの37位で今季の獲得賞金を1億8004万円余りとし、初の賞金王を確定させた。19アンダーの8位で1億1014万円余りとした賞金ランキング2位の星野陸也に、最終戦の日本シリーズJTカップ(12月1日~4日・東京よみうりCC)で逆転される可能性が消えた。


 

 人一倍の努力の先に才能を開花させた比嘉一貴が、目標に掲げ続けてきた賞金王のタイトルをつかんだ。安定したショットを武器に国内メジャー初制覇など今季4勝を挙げた。国内、米国、欧州ツアーを合わせここまで27戦で予選落ちは3回にとどまる。8位以内は4回を数え、終盤は賞金ランキング1位を走り抜ける強さを誇った。

 残り1試合を待たずにタイトル獲得を決め「実感は湧かないけどやっと安心したと言うか、肩の荷が下りてほっとしている」と安堵(あんど)感をにじませ「これから実感が湧いて、うれしさも出てくると思う」とほほ笑んだ。

 10歳でゴルフを始め、多い時は1日3000球を振り抜く「練習の虫」だった。父の洋さん(60)によると、好きだった5番アイアンが曲がるほど根気よくゴルフに向き合った。

 競技に出合った時から非凡さを見せていたが、高校、大学で全国一、世界一を取るなど持ち前の努力で頭角を現した。プロ転向後も、158センチの小さな体でも「できること」を突き詰め、日本のトップで渡り合う力を高めてきた。

 熱心なジュニア育成や自由にゴルフができていた沖縄の環境に感謝する27歳。賞金王戴冠は「できると思ってやってきた」と自負する。

 「ここがゴールとも思っていない。今まで以上に真剣にゴルフに向き合いたい。海外ツアーにも機会があれば挑戦したい」とさらなる成長を誓った。次は世界へ、大きく羽ばたく。

(謝花史哲)