メモを捨て感覚重視 比嘉一貴の今季の強さを支えた助言 男子ゴルフ賞金王


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ホールアウトし、一緒に回った選手と握手を交わす比嘉一貴(左)(小川昌宏撮影)

 その日その日の感覚を大事にしたことが、今季の比嘉一貴の強さを支えた。先輩らの助言を受け、今季からグリーンの傾斜など小まめに取っていた自作メモを持つことをやめたという。メモがなくても「楽しくイメージ通りできて、アドレスでの気持ち悪さもなくなったのが大きかった」と今季のプレーを振り返った。

 2019年からキャディーを務める岡本史朗さんも進言した1人。昨季まではプレー中、メモを見てばかりでデータ優先の攻略法に縛られ「頭でっかちになりがちだった」という。しかし今季は現場で感じるグリーンの状態や天候など、自分の感覚を大事に戦略を立てて臨んできた。

 メモを基に「ちょっとした確認をするだけでプレーに入ることで、懐が深くなったと思う」と岡本さんは振り返る。さらに練習漬けをやめ、適度に休息を取るようになったことも精神面を強くする一因と分析する。結果、以前よりいら立ちは減り、気持ちの切り替えも早くなった。調子を上げていたショットやアプローチからパットにつながる好循環が生まれた。

 最終日の27日、比嘉は苦しいゴルフにはなったが、感覚を大事に手応えをつかんでいる120ヤード以内のショットで組み立てるなど一つスコアを伸ばした。今大会の結果には悔しさを残しつつ、27歳の賞金王は「何もかもがむしゃらで、常に100、120%、いつ力尽きてもというのがあったが、ゴルフが分かるようになってきたと思う」と言葉をかみしめた。

(謝花史哲)


 男子ゴルフのカシオ・ワールドオープン最終日は27日、高知県Kochi黒潮CC(7335ヤード、パー72)で行われ、71で回った比嘉一貴(本部高―東北福祉大出)が通算12アンダーの37位で今季の獲得賞金を1億8004万円余りとし、初の賞金王を確定させた。19アンダーの8位で1億1014万円余りとした賞金ランキング2位の星野陸也に、最終戦の日本シリーズJTカップ(12月1日~4日・東京よみうりCC)で逆転される可能性が消えた。