9月の選挙でそれぞれ再選した玉城デニー知事と松川正則宜野湾市長は会談で、基地負担軽減や、基地周辺で検出されているPFOS(有機フッ素化合物)の問題などについて、県と宜野湾市は連携していく方向で一致した。一方、米軍普天間飛行場移設に伴う辺野古新基地建設を巡っては姿勢の違いからか直接的な言及は少なく、一致点が見いだせるかは不透明で、腹の探り合いの雰囲気も漂った。
玉城知事は9月の県知事選で、辺野古新基地反対を訴えて再選を果たしたのに対し、松川市長は「辺野古移設を容認せざるを得ない」との立場を明確にして市民の負託を受けた。松川氏は18年の市長選では賛否を明確にしていなかった。改選を経て、今後4年間は県と宜野湾市の間で、辺野古を巡り「反対」と「容認」で、立場の違いが鮮明となる。
28日の会談で、松川市長は「今回の選挙で私は知事と違って、辺野古は容認せざるを得ないという形で訴え、負託を受けている」と強調し、辺野古移設を含めた、あらゆる方策を講じた上で負担軽減を進めるべきだとの考えを強調した。一方、玉城知事は、基地負担軽減と辺野古移設を切り離すべきだと述べたが、辺野古の賛否を巡る具体的な発言はなかった。
国、県、宜野湾市が普天間飛行場の負担軽減策について話し合う「普天間飛行場負担軽減推進会議」は2019年4月を最後に開かれていない。推進会議の下にある作業部会は約1年ぶりに、23年1月に開催される見通しだが、辺野古を巡る立場の違いが明確となる中で一致点を見いだし、具体的な負担軽減策を打ち出せるのかが焦点となる。
玉城知事との会談後、松川市長は「一日も早い閉鎖・返還は県民の総意だと互いに認識している。ただ、手法が違う。その手法の違いをどうすれば、一緒になって取り組めるのか。作業部会や推進会議で方策を協議していきたい」との考えを示した。
(池田哲平)