「予想を超える惨状」島の住宅街に漂う悪臭…防護服の捜査員らが見た多頭飼育崩壊の現場 猫を次々と保護 沖縄・南大東


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保護した猫の記録を取る捜査員=30日午後5時ごろ、南大東村在所

 【南大東】劣悪な環境で猫を飼育したとして、動物愛護法違反容疑で50代の女が逮捕された南大東村の家屋の周辺には30日、異様な光景が広がった。県自然保護課と南大東村の職員、獣医ら立ち会いの下、防護服に身を包んだ県警の捜査員10人が猫が飼育される家屋に家宅捜索に入った。周辺は島内の住宅が集まる地域で悪臭が漂う中、マスクやゴーグルを装着した捜査員らが猫を次々と運び出した。

 家屋は元々、倉庫として使用されていた。トタン屋根の鉄筋コンクリート造りで2階建て。女が島内の住民から借りていた。電気やガス、水道のインフラ設備は通っていない。県警によると1階と2階を合わせて約80坪の広さ。女は家屋の道向かいに止めた自身の軽自動車で車上生活をし、度々この家屋でも寝泊まりしていたという。

 30日午後2時40分ごろ、捜査員が女の元を訪ね、車両から関係書類などを押収。約1時間後には女立ち会いの下、家屋の捜索に着手した。悪臭が立ちこめるため体調不良にならないよう、数十分置きに交代で出入りしながら捜査を進めた。

 家屋内に入った捜査員らによると、床はふん尿まみれで、壁や天井には数え切れないほどのゴキブリがうごめいていたという。これまで同様の現場を見てきた関係者は「過去最悪の状態だ」「予想を超える惨状」と嘆いた。

 遠巻きに捜査の行方を見守っていた島内の20代女性は、過去に親類が、女に猫の世話を頼まれて家屋内に入ったことがあると明かした。その際、ミイラ化した猫の死骸があり、親類は家屋外に女と共に埋めに行ったことがあるという。女性は「(女のことは)島の人みんな知っている。家屋から獣臭もする。きれいな環境で猫を飼ってほしかった」と語った。
 (照屋大哲)