「平和な子育てができる環境ではない」米軍ヘリ窓落下、当時の児童の保護者が法廷で訴え 嘉手納・普天間訴訟初弁論


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普天間飛行場

 「極東最大規模」の米軍嘉手納基地と、「世界で最も危険」と言われる普天間飛行場の二つの基地周辺住民計30人が起こした行政訴訟。30日に那覇地裁で開かれた第1回口頭弁論では、原告2人が法廷で思いを語った。2017年12月に普天間第二小学校に米軍ヘリの窓が落下した際、当時2年生だった息子が運動場にいたという原告の女性(43)は「普天間第二小の環境改善と米軍機の飛行差し止めを強く求める」と訴えた。

 宜野湾市新城在住の女性は、事故当日の状況を説明。息子のクラスが体育の授業をしていたと知った時は「一気に血の気が引いた」。事故から数日後、少しずつ話せるようになった息子から「逃げてって聞こえて、分からないまま走った。戦争が起きたと思った」と聞かされたという。

 その後、娘が小学校入学の際は、近隣の別の学校に入学できないか市教育委員会に申し出たが、許可されなかった。「平和な子育てができる環境ではない。米軍基地と隣り合わせの小学校は、上空も地上も安全が保障されていない」と語った。

 第4次嘉手納爆音訴訟原告団長を務める新川秀清さん(85)も意見陳述し、これまでの訴訟で爆音が違法だと認定しながらも飛行差し止めなどの根源的解決に目をつぶったままだと指摘。「基地被害の根絶に背を向ける裁判所の大きな壁に風穴をあけるために提訴した。原告救済判決を、心から強く強く望む」と述べた。