「不登校が急増している今こそ、子どもの居場所としての保健室を守るべきなのに」―。子どものSOSをいち早くキャッチできるはずの養護教諭不足。臨時教諭が見つからず、数カ月間保健室が閉鎖されていた学校もあった。「新型コロナの対応など人手不足の中で業務がさらに増えた。もう限界だ」。疲弊し休職が頭をよぎっても、言い出せずにいる現場の養護教諭から人員増を求める声が上がっている。
11月、県内中学校の保健室。終業後も仕事に追われる養護教諭の姿があった。「毎朝の検温や学校PCR検査、担任や保護者への情報共有、不安を抱え来室する子どもの増加など。例を挙げれば切りがない」と言う。
新型コロナだけではない。文部科学省の調査によると2021年度、県内小中高校で30日以上欠席した不登校の児童生徒は20年度より791人増え5286人に上った。この養護教諭は「丁寧に話を聞くことが一番効果的だが余裕がない」と話す。養護教諭不足の現状が続けば「不登校はもっと増えるだろう」と懸念する。
小学校に勤務する養護教諭は「心も体もギリギリだ。でも休むなんて言えない」と暗い表情を浮かべる。子育て中で「コロナ下は他の保護者と同じように、家族感染や子どもの自宅待機など大変だった。でも養護教諭は代わりがいない。家族のために仕事を辞めようと考えることが何度もある」と吐露する。
同養護教諭は「事務作業を手伝うアルバイトを雇うなど、行政は今できる対応をしてほしい。この状況を放置すれば離職者が増え、結果的に子どもたちにしわ寄せがいくことになる」と眉間にしわを寄せた。
(嘉数陽)