“冒険”の資金を貯め日本縦断達成 相棒の自転車は祖父の贈り物 15歳の松村さん、石垣でゴール


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
自転車で日本縦断を達成した松村陽向さん=11月26日午後、石垣市浜崎町

 【石垣】川平中(石垣市)をこの春卒業した松村陽向(ひなた)さん(15)がこのほど、自転車での日本縦断を達成した。9月に北海道を出発し、11月26日に、ゴールの石垣市に到着した。走破した距離は約3200キロという。中学卒業後、進学せずに働き、“冒険”の資金をためた松村さんは「高校に行かなくても頑張っている人がいることを伝えたい」と語る。

 「他の人とは違った生き方をしてみたい」。松村さんはかねてから、自転車での旅を夢見ていた。中学卒業後は福井県で働き始めた。だが勤務先のパン店が閉店。その機会を使い、今回の旅を企画した。

 出発地の北海道の苫小牧市を9月2日にたち、3カ月近く、1人で日本中を旅した。東北を南下し、太平洋に沿って九州まで進んだ。相棒の自転車は、滋賀県に住む祖父・鎌田正直さん=享年(70)=からのプレゼントだった。正直さんは今年1月に亡くなった。「おじいちゃんに自転車を見せてあげたい」。“天下の険”で名高い箱根の峠越えなど苦しいこともあったがペダルをこぎ続けた。

 道中では、楽しい思い出もたくさんできた。旅行を応援してくれる人の家に泊めてもらったこともあった。時には野宿をしたり、ご当地のおいしいものを食べたりもした。

 ゴール地点の石垣漁港フィッシャリーナでは、家族や友人らが出迎えた。母親の恵子さん(36)は「中学生のころからずっと旅がしたいと言っていた。一気に大人びたように感じる。これからも自分で道を切り開いていくと思う」と息子の成長に目を細めた。
 (西銘研志郎)