山之口貘賞に林慈さん 平易な言葉で沖縄の心象風景を表現 来年2月に贈呈式


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 沖縄を代表する詩人・山之口貘(1903~63年)の文学を受け継ぐ詩作品や詩活動を表彰する、第44回山之口貘賞(主催・琉球新報社、後援・山之口貘記念会、南海日日新聞社)の選考会がこのほど那覇市内で開かれ、林慈(はやしめぐむ)(本名・新垣明美)さん(73)=那覇市=の詩集「浜紫苑(ハマシオン)」(新星出版)が受賞作に選ばれた。贈呈式は2月22日に那覇市の琉球新報ホールで開催予定。

 応募詩集は5冊。受賞作は、林さんの幼い頃の記憶や心象風景などを平易な言葉で表現した22編を掲載した。

 選考委員は以倉紘平氏(詩人、H氏賞、現代詩人賞、丸山薫賞)、高橋順子氏(詩人、読売文学賞、藤村記念歴程賞、三好達治賞)、市原千佳子氏(詩人、丸山豊記念現代詩賞、山之口貘賞)。受賞作について「沖縄の自然への賛歌。ご先祖への祈り。母親への感謝。沖縄への愛情がよく伝わる詩集」(以倉氏)、「自然と交歓する喜ばしい詩が多く、心が洗われた。童心の美しさにも目をみはった」(高橋氏)、「言いたい事を言いすぎない、抑制の利いた締りある句切れの術を評価。殊に短詩群に注目した」(市原氏)などと評価した。

 (宮城隆尋)