【舞台裏】「南西諸島は防衛力の本丸」与那国島配備、ミサイル部隊、電子線部隊…沖縄陸自強化の背景


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与那国島(資料写真)

 「南西諸島は防衛力強化の本丸だ。旅団では小さすぎる」。自衛隊幹部は対処力を高めるため、大規模化が必要だと強調する。かつては沖縄本島より西側に陸自部隊が存在しなかったが、2016年、与那国島に沿岸監視隊が発足したのを皮切りにミサイル部隊や電子戦部隊などが次々できた。

 安全保障関連3文書の改定に向けた政府の有識者会議が11月にまとめた報告書は、南西諸島の港湾や空港など公共インフラの利用促進を提言。別の自衛隊幹部は「部隊の環境が整っても弾薬や食糧を供給しないと機能しない。兵たんのためにインフラ整備は不可欠。南西地域を守るためで『軍港を造るな』との批判は当たらない」と言い切る。

 沖縄は77年前、激しい地上戦を経験した。米軍基地の負担軽減は変わらぬ課題で、自衛隊の部隊配備や増強にも抵抗感が強く残る。

 「沖縄防衛師団」。大規模化の検討では、南西諸島の体制強化の意思を示すため、地名を入れた名称にする案も一時浮上した。全国にある師団や旅団は番号で示され、地名が入る名称は突出した印象を与える。省内からは「地元を刺激することになるのではないか」との意見が出て、議論はまとまっていない。

 ある幹部自衛官は「沖縄の米軍基地の負担軽減を進める中、部隊の増強をするには地元理解が重要になる」と指摘し大規模化への慎重論を説く。