1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
日本「復帰」した1972年12月6日の琉球新報1面トップは、10日に投票がある衆院選について全国世論調査の結果について「自民の優位変わらず/共同通信社調査の全国選挙情勢/社、100議席台を回復/公民後退、共産20人台確保か」との見出しで、田中政権の自民党が引き続き第一党をにらむ醸成となっていることを伝えている。関連して沖縄の選挙区について「那覇は依然低調/最後のヤマ場迎える」と那覇が流動的な情勢だとみている。
コザ市のサウナ従業員が殺害された事件で、米軍が身柄を押さえている米海兵隊二等兵(19)について「コザ署、米兵を送検/サウナ従業員殺し/身柄、起訴まで米軍に」との見出しで、婦女暴行致死傷と殺人の容疑で書類送検したことを伝えている。記事では、米兵の供述では財布を盗むと思って殺害したとあるが、遺体解剖の結果、殺害前に暴行したことが分かっており、「犯行動機はあくまでも暴行するのが目的」と捜査本部の見立てを解説している。
ベトナム和平に向けた交渉に関して「19日には調印か/NYタイムズ報道/『南』も協定受け入れへ」との見出しで、大詰めとみられる状況を伝えている。
田中内閣の目玉政策の日本列島改造の推進に向け田中角栄首相が進める「国土開発庁」構想について「難航必至の『国土開発庁構想』/関係省庁、利害が対立」と政府内での混乱を伝えている。
◇ ◇ ◇
5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。