前宮古島市長の控訴を棄却 自衛隊用地めぐる収賄 福岡高裁那覇支部


この記事を書いた人 Avatar photo 仲井間 郁江
福岡高裁那覇支部

 宮古島市上野野原の陸上自衛隊駐屯地の用地取得を巡る汚職事件で、国への土地売却の便宜を図った見返りに現金600万円を受け取ったとして収賄罪に問われた前宮古島市長の下地敏彦被告(76)の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部(谷口豊裁判長)は5日、懲役3年、執行猶予5年、追徴金600万円とした一審那覇地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。

 弁護側は、下地被告が2016年6月に市議会で陸自配備計画の受け入れを表明したのは政治的立場の表明であり、市の責任者として一定の処分を行う職務権限とは異なると主張。受け入れ表明は賄賂罪における職務に当たらず、600万円は政治献金との認識で、賄賂との認識はなかったなどとし、一審判決を破棄して無罪とするよう求めていた。

 ことし2月の一審那覇地裁判決は、受け入れ表明は市長の職務権限に属すると判示。ゴルフ場会社の元社長=贈賄罪で有罪確定=から渡された600万円は受け入れ表明の対価で、被告には賄賂性の認識があり、収賄罪が成立するとした。

 一審判決によると、宮古島市長だった下地被告は、自身の陸自配備計画の受け入れ表明によって「千代田カントリークラブ(CC)」の土地を陸自駐屯地用地として国に売却できたことに対する謝礼と知りながら、18年5月、東京都内で千代田CCの元社長から現金600万円を受け取った。