【記者解説】なぜ今?米軍「リバティー制度」緩和 制限対象者が大幅減か 対策の実効性問われる


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2米兵による集団女性暴行致傷事件を受けて外出禁止令が出された中、パトロールする米軍関係者=2012年10月19日、沖縄市のゲート通り

 米兵による事件・事故防止のため在日米軍が導入している「リバティー制度」を巡り、5日付で適用された新しい内容は米兵の米軍施設・区域外での飲酒禁止時間や外出制限の対象を緩和し、施設外での米兵の飲酒が増えることが見込まれるものとなった。年末年始を控え基地外での飲酒を含む行動の増加が見込まれる中、緩和を決めた妥当性が問われる。

 午前1時から午前5時まで外出制限を受ける対象を従来の軍階級別から19歳以下に見直した。米軍側は、在日米軍全体の年齢が上がっていることが理由だと説明する。制限を受ける19歳以下の対象者が大幅に減るとみられる。

 飲酒禁止時間も緩和されるが、酒気帯び運転容疑での米兵の逮捕は連日のように報道されており、緩和前日の4日にも道路交通法違反(酒気帯び運転)の容疑で26歳の米海兵隊3等軍曹が逮捕されている。

 知念覚那覇市長は5日に出したコメントで、市職員が酒気帯び運転した場合は懲戒免職となることを例に挙げ「米軍内でもことの重大さを認識し、隊員の教育を徹底」するよう要望した。

 リバティー制度はこれまでも事件事故が発生するたびに規制の強化と緩和が繰り返されており、規制措置の実効性も改めて問われる。
 (知念征尚)