【深掘り】県外で相次ぐ鳥インフルエンザ、沖縄県内の対策は? うるま市で確認、県は冷静な対応呼び掛け


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎

 沖縄県うるま市で発見された野鳥のハシビロガモの死骸から、鳥インフルエンザの陽性反応が出たことが6日、判明した。現在高病原性鳥インフルエンザかどうかを検査している。発見場所の周辺にはニワトリなど家禽(かきん)農場も点在している。高病原性であれば甚大な被害が懸念されることから、関係者らには緊張が走った。県は「今回の発見は養鶏場からではない」と説明し冷静な対応を呼び掛けている。

 県畜産課によると、検査の結果高病原性と確認された場合、発見場所から半径3キロ以内の家禽農場を対象に立ち入り検査を実施する。万一農場での発生が判明すれば、殺処分や消毒、移動制限といった防疫措置が講じられる。

 同課によると3キロの区域内には9カ所の家禽農場がある。県は農家に注意喚起し、家禽の健康観察や、飼養衛生管理基準を徹底するよう求めている。

 県外で高病原性鳥インフルエンザの感染が相次いだことから、県は11月7日に緊急防疫対策会議を開き、農家ら関係者とウイルス侵入を防ぐ対策を確認した。同月下旬には鹿児島県の養鶏場で感染の疑い事例が発生したため、各農場に生石灰を順次配布している。

 担当者は「今季は全国的に鳥インフルエンザが発生している。県内でもいま一度農家らに飼養衛生管理基準が守られているか確認してほしい」と述べ、予防や被害を最小に食い止めるためにも防疫措置の重要性を改めて強調した。

 県養鶏農業協同組合の諸見里元組合長は「今年の状況を見ればどこで感染があってもおかしくない」と語りながらも、県内で陽性反応が確認され驚きを隠さない。「組合としても消毒の必要性を啓発しているが、目に見えないウイルスが相手だけに対策は難しい。いま一度関係者に注意を促したい」と話した。

 県自然保護課の担当者は、人への感染リスクについて「感染した鳥との濃厚接触などがあった場合を除き、人には感染しないと考えられている。鳥の排せつ物などに触れた後に手洗い、うがいをすれば過度に心配する必要はない」とし、冷静な行動を呼び掛けた。4(小波津智也)