那覇の陸自15旅団「師団」格上げ方針 防衛省が自民部会で示す 防衛力強化、安保戦略に盛り込む


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陸上自衛隊那覇駐屯地に拠点を置く第15旅団の増強計画について、見解を示す浜田靖一防衛相=6日、東京

 【東京】陸上自衛隊那覇駐屯地に拠点を置く第15旅団の増強計画を巡り、防衛省は5日、自民党本部で開かれた国防部会と安全保障調査会の合同会議で、旅団から「師団」に格上げする方針を示した。浜田靖一防衛相は6日の閣議後会見で、第15旅団の増強を念頭にした南西地域での防衛力強化について、外交・安全保障政策の長期指針「国家安全保障戦略」に盛り込むとした。

 関係者によると、自民党本部で5日に開かれた会議で、部隊増強について、作戦の基本単位とされ、約4900~7700人で編成される「師団」とする方針が示された。同会議では、防衛省側から部隊の名称や人数についての詳細な説明はなかったという。

 6日の会見で浜田氏は、記者団から防衛省内での調整状況を問われ「南西地域の防衛体制の強化については、年末の新たな国家安全保障戦略の策定に向けて現在検討を進めている」と述べた。具体的な調整状況については「内容についてのお答えは差し控えたい」と述べるにとどめた一方で、「部隊配備によって大規模災害や国民保護における対応の迅速化につながる」との見解も示した。

 部隊増強との関連で「力による現状変更を許容しないというわが国の意思を示し、島しょ部への攻撃に対する抑止力、対処力を高める」との認識も示し、軍事的な台頭を強める中国を念頭に、台湾有事への警戒感も示唆した。

陸上自衛隊第15旅団の観閲式=11月6日、那覇駐屯地

 一方、玉城デニー知事が5日、部隊増強について「自衛隊を防衛力という名目で強化するのであれば、その分米軍の負担の比重を軽くするべきだ」と米軍基地の負担軽減を求めた点については「(米軍基地は)わが国の平和と安全を確保する上で必要だ」と指摘。基地負担の軽減は「政府の大きな責任だ」としながらも、具体的な取り組みについては「日米間で合意されている嘉手納以南の土地の返還や海兵隊のグアム移転などについて可能な限り早い実現に全力で取り組んでいく」とだけ述べた。

 陸自第15旅団を巡っては、現在一つの普通科連隊を二つに増やし、部隊トップの階級を陸将補から陸将に格上げする増強案が検討されている。
 (安里洋輔)