沖縄研究奨励賞を3氏が受賞 自然科学に玉城、井口の2氏 人文科学に照屋氏 来月25日贈呈式


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 【東京】沖縄協会(清水治会長)は6日、沖縄の地域振興や学術振興に貢献する人材の発掘と育成を目的にした沖縄研究奨励賞の第44回(2022年度)受賞者を発表した。自然科学部門に玉城麿・県農業研究センター上席主任研究員(49)、井口亮・産業技術総合研究所主任研究員(44)の2人、人文科学部門に照屋理・名桜大学国際学群上級准教授(47)が選ばれた。

 玉城氏は「沖縄農業の台風対策に関する研究」が評価された。2003年の台風14号による被害を分析し、最大瞬間風速50メートルに耐えるハウスを完成させた。実用化で台風被害が発生しない周年型のハウスの運用が可能になり、マンゴーやパパイアなど高付加価値な作物の安定出荷が期待できる。

 井口氏は「造礁サンゴ類の環境応答に関する総合的研究」が評価された。地球温暖化によって減少が危惧される造礁サンゴ類について、高温化や海洋酸性化、都市や農地からの栄養付加の影響などを研究し、海洋酸性化がサンゴ類の石灰化や光合成活性を低下させることなどを明らかにした。

 照屋氏は「琉球文化圏における口承あるいは筆録の文芸・文化研究」として、「おもろそうし」など琉球文学の文献研究とフィールドワーク調査によって沖縄各地の伝承を調査した。名護に伝わるイルカにまつわる伝承と英国の社会人類学者ジェームズ・フレイザーが提唱した概念との関連性を指摘した。

 同賞は沖縄を対象に研究する50歳以下の新進研究者が対象で、全国6都府県から18件の推薦応募があった。社会科学部門は該当なしだった。

 贈呈式は来年1月25日、那覇市のパシフィックホテル沖縄で開かれる。
 (安里洋輔)