国連で採択された「子どもの権利条約」の実現を目指し、子どもたちの意見表明を大人が受け止め、共に考える「子どもの権利条約フォーラム2022」(主催・同実行委員会)が10日、那覇市の沖縄大学で開かれた。「子どもと大人、一緒に創る未来予想図」をテーマにしたディスカッションでは、小学生から高校生まで7人が登壇し、社会で役立つ学びを求める声やコロナ禍で学校生活に制限があることへの焦燥感など、支援者ら大人4人と壇上で意見を交わした。
教科以外で社会で生きていくための学びが学校に少ないことは「学習の貧困ではないか」という意見や、純粋に楽しみたいボランティアも「大人は(進学などの)実績としか評価してくれないのでは」といった声が上がった。登壇した学生からは今を一生懸命生きたいとの思いが発せられた。
コロナ禍による影響も大きく「行事がなくなった学校に楽しめる場所はない」「感覚過敏でマスクが着けられない人向けのフリースペースを作りたい」などの意見に、登壇した支援者や専門家は“宿題”を受け取った様子で「子どもらが語れる環境を大人がどうつくるか」と寄り添った。
前回開催地の神奈川県川崎市から参加した生徒は、悩みや困りごとがあっても「条約を知って入れば、意見を言う権利があると分かる」との気付きを報告した。
オープニングでは、子どもの権利条約ネットワークの喜多明人代表が講演。過去の開催で生まれた子どもや関係団体との出会いを通して「大人が子どもとどう向き合うか試された場所」と意義を語った。
同日は、不登校支援や子どもの居場所づくり、保育現場の死亡事故などをテーマにした分科会も行われ、識者や支援団体が議論を交わした。最終日の11日はフォーラムの振り返りのほか、20の分科会も行われる。
(嘉陽拓也)