人手不足感、過去最高 総合事務局10~12月期、需要回復も機会逸失


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 沖縄総合事務局財務部は12日、10~12月期の法人企業景気予測調査の結果を発表した。雇用について前回調査(9月末)と比較した12月末の従業員判断指数(BSI)は8.9ポイント上昇の43.9と「不足気味」超幅が拡大し、雇用関連調査を開始した2004年以来最も高い水準となった。新型コロナ感染防止対策と経済活動が両立した「ウィズコロナ」で人流が回復し、全国旅行支援などで観光需要が拡大しており、人手不足感が一層強まっている。

 BSIは回答内容の企業構成比で「不足気味(上昇など)」から「過剰気味(下降など)」を差し引いて算出する。

 従業員BSIを業種別に見ると運輸業.郵便業が28.5ポイント上昇の71.4で最も高く、卸売業・小売業が36.7ポイント上昇の66.7、サービス業が19.1ポイント上昇の66.7と続いた。前回調査で53.8と過去最大の数値だった製造業は人手不足感が弱まり、12.1ポイント下降の41.7だった。

 回答した企業から、県外からの応援を求めたり時給を上げて中途採用の募集をしたりしているものの、十分に対応できず受注や営業機会を逸しているとの声が寄せられた。県外に人材が流出しているとの懸念や技術職に関する人材育成を訴える声もあった。

 前回調査(7~9月期)と比較した10~12月期の景況感を示す景況判断BSIは0.7ポイント下降の11.0だった。「上昇」超幅は縮小したものの、3期連続で「上昇」超を維持している。

 鈴木徹財務部長は「景況判断BSIは3期連続でプラスとなり、県内企業が景気回復を広く実感できているのではないか」と分析。人手不足感については「コロナ禍で人員が離れてしまい、急な需要回復に対応できていない」と指摘し、関係機関と連携し状況を注視する姿勢を示した。

 調査は県内企業121社を対象に実施し、90.1%に当たる109社から回答を得た。
 (小波津智也)