福祉支援「常に前進」 女性の専門職・仲宗根さん、独学で介護用具レンタル会社を設立


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ウォーカーズベースの仲宗根千晶さん(提供)

 【浦添】女性の活躍に期待が高まる時代、仲宗根千晶さん(44)=那覇市=が介護用ベッドや車いすといった福祉用具レンタルを行う「合同会社Walkers Base」(沖縄県浦添市)を今年7月に設立した。福祉用具の仕事は重い介護用ベッドを運ぶなど体力を要するため、男性が多い職業で、女性の専門職は珍しい。

 会社名について「Walkers(進む人) Base(基地)の造語で、『常に前進する人たちの基地』になる会社にしようと名付けた。福祉用具だけではなく、今のままじゃだめだ、何かやりたい、と改革を望む人たちが集い、常に前進していく会社にしたい」と意味を語る仲宗根さん。

 観光業や飲食店など、さまざまに職業を経験し、35歳の頃に介護職は「究極の接客業」だと感じ、デイサービスに就職した。そこで壊れた車いすに乗っている人を見た仲宗根さんは、自分で直せないかと考え、「福祉用具専門相談員」という資格を取得し、福祉用具の会社で仕事を通じて技術を磨いた。顧客の状態の変化に応じた適切な福祉用具の選定、迅速な対応も求められる職種で、仲宗根さんは「顧客ファースト」を信念に年中無休で県内全域を飛び交う。

 会社設立のノウハウも独学で、契約は書類ではなく電子機器(タブレット)を使い、ペーパーレスだ。「女性だから」は言い訳にならないと、ジムに通い、ジョギングでトレーニングも行う。介護施設や教育現場で介護技術の講師も務める。5年前に脳性まひの車いすユーザーと出会ったのを縁に、障がいがあっても社会で自己実現を目指す人たちの支援にも取り組んでいる。有志と作った任意団体「フクシカケル」が活動2年を経過し、現在、NPO法人化に向けて県に設立認証を申請中だ。

 「身体的、精神的な疾患だけでなく、人々の意識に潜む差別や偏見も『障害』だ。誰もが日常生活でさまざまな『障害』に接している社会で、全ての人々が幸福を享受できる自己実現の場を創造するために協力していきたい」と話す。柔軟な行動力で個人の目標実現のサポートや地域福祉に関する相談や支援、研修、イベントを展開する仲宗根さんの動向に注目が集まる。問い合わせは電話090(1947)3679(仲宗根さん)まで。

(池辺賢児通信員)