復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉12月16日「沖縄基地返還で海兵隊がカギ」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年12月16日の琉球新報1面トップは、「一両日中に県教育委員決定/8団体に推薦依頼/チジ、さらに与党とも調整」との見出しで、沖縄県の教育委員の人選について報じている。沖縄の教育委員は復帰前の公選制から復帰して任命制に変わり、12月で任期を迎えて、人選に入った。

 沖縄の基地返還の動向を巡り「海兵隊がカギ/防衛施設庁/基地返還で語る」との見出しで、防衛施設庁幹部が、基地返還は沖縄の海兵隊がどうなるかが焦点だとの認識を示したとの記事を掲げている。記事では「平井施設部長は(中略)沖縄の基地返還の見通しについて『ベトナム和平がどうなるか、見通しはたてにくいが、沖縄の海兵隊がどうなるかカギとなろう』などと語った」と記している。発言の具体については「沖縄の基地がどうなるか米側でも検討されており、施設庁でも検討をしている」「米陸軍は現在ベトナムの後方支援を中心にしており、牧港の第2兵たんがどうなるかもおよそ見当がつく。また空軍は、嘉手納中心ということではっきりしており、海軍は大したことはない」と紹介している。

 県警本部の人事異動について「刑事警察を増強/358人、大幅な異動/県警本部」と凶悪事件の捜査、取り締まりに重点を置いた人事配置だと伝えている。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。