「軍拡より生活を」「子どもたちの生活がすでに戦場」防衛費増強で増税…母親ら悲鳴、支援者が語る現実


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 防衛費増強に向け、今後は増税など暮らしへの影響が見込まれる。経済的に困窮する家庭や子どもに寄り添う沖縄県内の支援者からは「子育てや貧困世帯への支援を率先するべきではないか」などと疑問の声が上がった。

 経済的に困窮し、赤ちゃん用のミルクを買えない家庭に無償でミルクを届ける「共育ステーションつむぎ」代表の髙良久美子さん(60)は、食料品や公共料金の相次ぐ値上げで生活が追い詰められ、悲鳴を上げる母親たちの姿を見てきた。

 母親らから「政府は私たちに死ねと言っている」と悲痛な声を聞くと言い、「胸が張り裂けそうだ」と吐露する。「税金を防衛費に回すより、子育て世帯への支援など率先してやるべきことがあるはずだ」と訴えた。

 さまざまな境遇の子どもと接する那覇市国場児童館館長の山崎新さん(40)は「生きることに価値を見いだせず、つらい気持ちを抱える子たちがいる」と語る。昨年度、日本で19歳以下の自殺者数が750人に上ったことに触れ、「子どもたちの生活が既に戦場状態と言える。それをまず何とかしなければならないはずだ。防衛力の前に子どもたちが希望を持って生きていける社会をつくることが大人の責任だ。国を守るのは人。人を育てることに税金を使ってほしい」と求めた。

(赤嶺玲子、嶋岡すみれ)