「平和につながらない」「二度と戦争を起こさないで」安保3文書決定に沖縄戦体験者は


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平和の礎

 安保関連3文書の閣議決定を受け、沖縄戦体験者などからは、日本が再び戦争へと突き進むことへの強い危機感や「日米が中国に武力で対抗しても平和につながらない」といった批判の声が上がる。

 沖縄戦で砲弾が飛び交う中を逃げ惑った翁長安子さん(93)は「人殺しのために税金を使うなんて許せない。(そもそも)戦をしなければいいわけよ」と断じる。報道で見たミサイル避難訓練の様子に戦前の避難訓練を思い出すといい「弾の雨あられの中をどれだけの人が死んでいったか。訓練をしても全く意味がない。命を大切にしてほしい」と訴えた。

 名桜大学学長も務め、現在は沖縄戦体験の継承に力を注ぐ瀬名波栄喜さん(94)=那覇市=は「戦争を前提に軍備強化することに納得できない。日本は二度と戦争を起こしてはいけない」と語気を強める。

 宮城政三郎さん(94)=那覇市=は疎開先の台湾で学徒兵として動員され、戦後は小学校教員として平和主義の大切さを説いてきた。「軍拡競争では戦争になる。戦争することばかり考えるのは政治の堕落でしかない」と指摘。中国との関係について「米国と一緒に中国を敵視するのは愚の骨頂だ。日本は非戦の憲法を前面に平和外交で貢献するのがあるべき姿だ」と力を込めた。

 佐渡山照子さん(91)=恩納村=は「辺野古は政府に押し切られているが、これは沖縄が滅びるかもしれない大きな問題だ」とし、沖縄が一つになって声を上げる必要を指摘した。(中村万里子)