「心はあの頃のまま」復帰直前に高校卒業の5人、50年ぶり再会 沖縄・那覇


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 【那覇】ずっと会いたかった―。制服で別れたあの日から50年。沖縄が日本復帰した年の1972年3月、琉球政府立那覇商業高校(現県立那覇商業高校)として最後の卒業生5人が11月19日、那覇市東町のギターラウンジしんこうの店で、涙の再会を果たした。「沖縄の50年の歴史と共に私たちの50年もある」と高校卒業後の人生を語り合い、「また会おう」と誓った。

50年ぶりの再会を喜ぶ琉球政府立那覇商業高校時代の同級生5人=11月19日、那覇市東町のギターラウンジしんこうの店(提供)

 再会したのは上間智賀子さん(伊江村)、宮平友子さん(与那原町)、与那嶺優子さん(与那原町)、新里和則・敏江さん夫妻(浦添市)の5人。新里夫妻は高校卒業後に結婚し、ギターラウンジしんこうの店をオープン。結婚50年の金婚式も迎えた。

 再会は、約2年前の2020年11月1日付琉球新報がきっかけ。ハイタイのコーナーで宮平さんが紹介され、記事を読んだ上間さんが本紙に問い合わせて2人はつながった。高校卒業以来連絡が取れなくなっていた2人。すぐにでも会いたかったがコロナ禍だったため、会いたい気持ちを抑え、時を待った。あれから2年、今年11月に念願をかなえた。

 5人は、同校で当時の金融課程のクラスに在籍した。上間さん、宮平さん、与那嶺さんの3人は演劇クラブに所属。「宮平さんと与那嶺さんは花形だった」と話す上間さん。高校卒業後、上間さんは地元の伊江島に戻り村役場に就職。与那嶺さんは化粧品メーカーの美容部員として従事。宮平さんは卒業した年に結婚。それぞれの人生を歩んだ。家族との死別、親の介護、孫の誕生など、互いに背負ってきた時間を分かち合い、今だから話せる思いを語り合った。

 会えてよかったと何度も繰り返す上間さんは「感動。心はあの頃のまま。また会いたい」と話し、しんこうの店で同窓生が集い、輪を広げたいと熱望している。

(中川廣江通信員)